万城目学 『悟浄出立』

悟浄出立


俺はもう、誰かの脇役ではない。深化したマキメワールド、開幕! 砂漠の中、悟浄は隊列の一番後ろを歩いていた。どうして俺はいつも、他の奴らの活躍を横目で見ているだけなんだ? でもある出来事をきっかけに、彼の心がほんの少し動き始める――。西遊記の沙悟浄、三国志の趙雲、司馬遷に見向きもされないその娘。中国の古典に現れる脇 役たちに焦点を当て、人生の見方まで変えてしまう連作集。


万城目学 『悟浄出立』読了。
発売予告でタイトル見た時、中島敦の『悟浄出世』のパロかな?
と思ってたんだけどぜんぜんちがいましたごめんなさい( ’ω’)
(タイトルはたぶんオマージュだと思う)


悟浄出世
悟浄出世
posted with amazlet at 15.05.28
(2012-10-01)


特に「趙雲西航」「父司馬遷」がとても良かったなあ。
オタクの嗜みとして三国志は吉川版・宮城谷版・北方版・横光版・蒼天航路と
一通り読みましたが、成都攻略のタイミングで趙雲の心理を描いたものは
ひとつもなかった気がする。

趙雲って、劉備の長年の放浪生活に最初期から付き合っているにも関わらず、
やっぱり桃園トリオや水魚に比べると絆薄いという印象は否めなくて
義兄弟ズや諸葛亮に対して嫉妬心やコンプレックス抱くみたいな心理描写は
わりと見るんだけれども、万城目版ではそこからさらに一歩踏み込んだ
趙子竜という武将を描いてて新鮮だった。
三国志クラスタはこの一篇だけでもぜひ読んでー!(*⁰▿⁰*)

「父司馬遷」はなんというか、圧巻でした。
李陵の禍によって宮刑に処されたエピソードは有名だし、
「史書を完成させるという大願のため耐えた」と解釈されるけれども、
それは“史書という偉業を成し遂げた司馬遷”という後世の評価がある状態での
解釈であって、実際、かの司馬遷が一人の人間としてあの時何を思っていたのか、
ということを全く考えたことがなかったなあ。

とても満足度の高い短編集でした。
装丁もイイネ!今までの万城目作品の中で一番好きですこのデザイン。







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