酉島伝法 『皆勤の徒』

皆勤の徒 (創元日本SF叢書)

百メートルの巨大な鉄柱が支える小さな甲板の上に、“会社”は建っていた。語り手はそこで日々、異様な有機生命体を素材に商品を手作りする。雇用主である社長は“人間”と呼ばれる不定形の大型生物だ。甲板上と、それを取り巻く泥土の海だけが語り手の世界であり、そして日々の勤めは平穏ではない―第二回創元SF短編賞受賞の表題作にはじまる全四編。連作を経るうちに、驚くべき遠未来世界が読者の前に立ち現れる。現代SFの到達点にして、世界水準の傑作。

酉島伝法 『皆勤の徒』読・・・了・・・?
(第4回Twitter文学賞 国内編第2位)

読んでる最中も、読み終わった今も、いったい自分は何を読んでいるのか、そもそもこれは“小説を読む”という行為の範疇なのか、なにもかもわけがわかりません!!!

ただ一つ明確にわかったこと。
ずっと「これなんだろう・・・」と思っていた
酉島さんのTwitterユーザー名の

(∴) ←コレ


torishima


ももんじ!おまえだったのかももんじ!!!!


表題作の「皆勤の徒」と「洞の街」は読むのにものすごい労力が要って
「わけがわからないけどなんかすごい、でもあと半分読み切れるかな・・・」
と不安になってきた頃、「泥海の浮き橋」で途端に読みやすくなり
「あれっこれってもしかして・・・?」と世界観の仕掛けに
気づいた時の、なんともいえない気持ち!!!

最終的に、読み切るのに10日?半月?くらいかかりました。
なにしろ、作中8割くらいが造語。そして何の補足説明もないので、
もう想像するしかない。しかしわたしの想像力では追いつかない!
(漢字からある程度の推測は可能。表意文字の偉大さを噛みしめる・・)

“塵機(じんき)”だの“玉轡(たまぐつわ)”だのという、まったく意味の掴めない造語に紛れて、
“遮断胞人(しゃだんほうじん)”とか“嘔吐ミール”とか「からかうのもいいかげんにして!!」て突っ込みたくなる造語もちらほらあったりして、もう最初っから最後まで作者に翻弄されっぱなし。

ただ、わけのわからない異様な世界の中でも、社長に悪態をつきつつ働いたりバーで愚痴ったり、学校行ったりしている人(人かな?)たちが描かれていて、ギャップはあるんだけど不思議と違和感は感じなかったり、造語の多さや説明がギリギリまで省かれているのも意図的なものであって、読み手の困惑までもが計算し尽くされているかんじ。

よくわかんないけど強烈に惹かれる。
ストーリーそのものより、その「よくわかんなさ」がたまらなく、読み終わった頃にはすっかり中毒に。

いやー、これはすごいですね。クセになる。
活字を目で追っているだけなのに、 「あれ、自分はいま何してるんだっけ」っていう感覚に陥る、こういう読書体験は『ドグラ・マグラ』以来で、かなりの衝撃でした。
酉島さん、次作も必ず読みます。



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SFっていえば、先日発表された「伊藤計劃プロジェクト」にTLがざわめいたよね。
劇場!アニメ!





生半可な覚悟では企画なんて出しはしないだろうけど、
それでも不安:期待が6:4くらいです。
これを読んでしまったら、もうこの人のオリジナル(長編)は
読めないんだなあ、と思うとどうしても『ハーモニー』が読めません。



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