皆川博子 『海賊女王』(上・下)

海賊女王(上) 海賊女王(下)

十六世紀。スコットランドの高地に牧童として生まれたアラン・ジョスリンは、十七歳で戦士集団に加わり、アイルランドに渡る。そこで出会ったのは、オマリーの氏族の猛々しくも魅力的な男たちと、赤い縮れ毛を短く切った、十歳の少女グローニャ。闘いと航海に明け暮れる、波瀾の日々の幕開けだった―。

もうね、わたし、死神と契約して
残り寿命の半分を皆川先生に捧げたい。


残った半分の寿命で著書を読みます(・∀・)

いやあ、参ったねえ。
『双頭のバビロン』の読書メモでもすごいすごい言ってましたが
これはなんというか、すごいというより凄まじい。
スケールが大きすぎるよ・・・。

16世紀末、エリザベス1世が統治するイングランド。
海では女王の私掠免許を受けたフランシス・ドレークやジョン・ホーキンスらが
スペインの艦隊や商船を襲い、イングランドの国庫を潤していた。

エリザベス女王の父・ヘンリー8世の時代に巻き起こった
プロテスタントとカトリックの宗教改革(対立)が
イングランドとアイルランドの対立と支配をも激化させる中、
やがて「海賊女王」と呼ばれるようになるオマリーの族長の娘・グローニャの、
一生を海と闘いに捧げた壮絶な運命の幕が開ける。


『双頭のバビロン』より、歴史に基づく部分が多く、
その史実とフィクションの織りまぜ方が巧妙というか絶妙で、
自分が今読んでいるものこそが真実なのだと錯覚させるパワーがある。
その、作家の手のひらの上でころころと転がされるその心地よさったら。

御年80を越えてこの大作を生み出すエネルギー、はんぱない。
皆川先生、どうか末永くご健勝で、読者をころころと手のひら転がしてください!!
わたし、思いっきり転がる覚悟、出来てます!!(o;∀;o)

(五体投地)



以下、内容に触れる感想は折りたたみます。↓
(思いっきりネタバレしてます)

読み終えて、まずすごいなーと思ったのは
エリザベス女王側(宮廷サイド)の視点となる官僚のロバート・セシルと
グローニャ側(アイルランドサイド)の視点となる海賊アラン・ジョスリンという
対極にある2人の男のキャラクターの巧さ。

全体の2/3ほどは、ほぼグローニャの生涯に費やされるにも関わらず、
この2人の男にそれぞれの主である2人の女王を語らせることによって
2人の女王の対比をずっと意識させるような構造になっていて、
かつ、そこここに爆弾が仕掛けられている、という・・・。

終盤、グローニャがエリザベスに謁見する場面で
2人の女王の会見がどんなものであったのか、何を話したのかが
バッサリはしょられているところがまたすごいんだよね!

なんとなくだけど、この場面は何度も書いたんだけど
結局お蔵入りになったんじゃないかなって勝手に思ってる。


ただ一つ残念だったのが、『双頭のバビロン』で
どんでん返しというか、ものすごい人物トリックに衝撃を受けたせいで、
冒頭の思わせぶりな伏線と、主人公格のアランの弟・ロイが
早々に舞台から姿を消してしまうことに
最初から数人のキャラクターの素性を疑いながら読み進めてしまったので、
ロイの再登場にもオーランドの正体にも
「ええっ!?」という衝撃より「ははあ、そう来たか・・・」という
感覚のほうが強くなってしまったことかなあ。

目くらましのためか、割とどいつもこいつも怪しいので
(そもそも登場人物がバビロンとは比較にならんくらい多い;)
ハッキリと「あ、こいつや!」とわかったわけではないんだけど、
やっぱり衝撃度はかなり緩くなってしまった。
まあこれはファンである以上仕方のないことか・・・。

ラスト、オーランドはあの地で心の平安を覚えることは出来たんだろうか。

ネルに息子だと告げずとも、アランの家族の一員として
少しでも幸福を感じることは出来たのかな。

もし叶うならば、オーランドが生まれてからセシルに仕えるまでの
外伝的なものを読んでみたいなあ。
歴史の闇に葬られた、女王の血を引く美貌の青年とかもうね、
キャラクターとして好きすぎて!!!(*゚∀゚)=3

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