三崎亜記 『逆回りのお散歩』

逆回りのお散歩

インターネット上ではじまる、不条理な「戦争」
デモ、炎上、ステルスマーケティング─市町村合併を巡って、市役所VS反対派の静かなゲリラ戦がはじまった。現代の「見えない戦争」を寓話的に描く、ヒット作『となり町戦争』に続く系譜の最新作。


三崎亜記 『逆回りのお散歩』 読了。

んー。あらすじを見てすごく興味のあるテーマだったんで
読んでみたのだけど、ちょっと思ってたのと違ったかな。

この人の作風って現実を少しだけ捻じれさせた“ズレ”が売りだと思うし
そのズレ具合を「寓話的」と表現するのはとても的を射ていると思うんだけど
この『逆回りのお散歩』はいつもと違って、“ズレ”が発生せず、
あくまで現実世界に起こり得ることだけで完結している。

その分、主人公の女性が最後に選ぶ選択もすごく現実的、というかフツー。
ストーリーとしては主人公を「そういう心境」に持っていくことこそが
重要だったということは分かるが、なんちゅーか、
カタルシスのようなものがないのでオチとして若干不満が残った。

細かいエピソードはすごく巧いと思う。
目に見えない「大衆の意図」や「悪意」が具現化する描写が秀逸で、
いくつかのエピソードで背筋がスッと寒くなった。


同時収録の『となり町戦争』のスピンオフ短編「戦争研修」のほうが
いつもの三崎亜記っぽいテイストで好きだなあ。


0 コメント:

コメントを投稿