ユベール・マンガレリ 『おわりの雪』

おわりの雪 (白水Uブックス)

ユベール・マンガレリ 『おわりの雪』 読了。
(原題:LA DERNIÈRE NEIGE  田久保麻理訳)

「トビを買いたいと思ったのは、雪がたくさんふった年のことだ。そう、ぼくは、その鳥がどうしてもほしかった」
雪深い山間の小さな町で、病床の父と、夜留守がちな母と三人で暮らす〈ぼく〉は、養老院にいる老人たちの散歩に付き添い、小銭をかせいでいる。
ある日、少年は古道具屋の鳥籠に一羽のトビを見つけ、すっかり心を奪われる。毎夜、トビの話を父親に語って聞かせ、その物語が二人の絆を強めていく。少年はどうしてもトビを手に入れ、家に連れ帰りたいと願うが、自分の稼ぎでは足りない。ついに少年は辛い〈仕事〉を引き受けることに……。
初めての執着、いくつもの別れ、孤独と恐怖、空想と記憶――季節の移ろいの中で、静謐かつ繊細な筆致で描かれる、生と死をめぐる美しい寓話。流麗な訳文で贈るマンガレリ作品の最高傑作。

少年が老犬を連れて雪道を歩くシーンが頭から離れてくれない。
淡々と美しい静謐な情景描写なのに、まるで呪いのようだった。

もういやだ、と何度も思った。
けれど、泣くことも読むのをやめることも出来ず、
祈るような気持ちでページをめくり続ける。

もうやめよう。こんなことはやめて、今すぐ家に帰ろう。
彼の腕を掴み、そう言いたかった。





読むことが出来てよかった。
世界には、震えるような物語がたくさん埋まっている。
そう思える一冊でした。翻訳も素晴らしかったです。


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