東直子 『ゆずゆずり 仮の家の四人』

ゆずゆずり (中公文庫)

わけあって「仮住まい」中のシワスが同居人とともに送る日々。階段、暦、爪、マンホールの蓋、旅先で出会った柴犬婦人、雨もり、英語教材の訳文、そして引っ越し。日常に潜むささやかなものを掬い上げ、別世界へ軽やかに跳躍する。選び抜いた言葉で組み立てる随想小説。

東直子 『ゆずゆずり 仮の家の四人』読了。

『とりつくしま』『千年ごはん』など、タイトルがとても好きで
気になってはいたけど読むのはこれが初めての作家(歌人)さん。

病院の待合室とか、仕事と仕事の合間とかにちょっとずつ読んでたんだけど
12月の気忙しさの中で、いい感じに空気を抜いてくれました。すごく好き。

これといって特別なことは何も起こらない。同居している四人が友達なのか
姉妹(家族)なのかとか、それぞれ歳は幾つなのかとか、何の仕事だとか。
そういう説明もなく、「これエッセイか?」と思うほどに
これといって何も起こらないフツウの日常。

それが、語り手のシワスがほんの少し思考をめぐらせると
とたんに別の世界へぽかりと浮遊する。
そのふわふわしたうたた寝のような状態がとても心地いい。

ゆるっとしたシワスのその思考がわりとわたしと似ていて、
共感度も高く、気の合う友達のエピソードを読んでいるみたいでした。

特に、暦考くだりでシワスとナナの
“毎月月末ゴールデンウィーク状態”
“年末ロングバケーション(ボーナストラック13月)”案が出た時は、
「わ、わたしと同じくらい怠惰でしょうもない計画をここまで
 真剣に練る人がほかにもいたー!」とうっすら感動を覚えたことであるよw

中公文庫版の、ぽわっとした小鳥の装丁も可愛いが
集英社単行本のこのユルいかんじも好きです。


ゆずゆずりゆずゆずり
(2009/03/05)
東 直子

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