森絵都 『気分上々』

気分上々


森絵都 『気分上々』読了。

2000年から2012年までに発表された短編9編を収録した短編集。

うう~ん、面白かった!
もともと森さんは『宇宙のみなしご』以来のファンで、何年経っても
期待を裏切られず「好きだー!」って思う作家さんだけど、
これもほんっと良かった!!(*´ェ`*)

あとがきにもありますが「お題」ありきの短編が多いので
発表時期もテーマもばらっばらなのに、森絵都エッセンスが
いい具合に効いていて、一つの短編集のまとまりとしても違和感がない。

どれもこれも好きなんだけど、特に好きなやつ4つ。


☆「17レボリューション」(初出:「野生時代」2006年4月号)
誰もが一度はブチ当たる十代の壁、アイデンティティとか恋とか親とか。
主人公のユニークさもさることながら、親友のイヅモのキャラが最高!
意外なことに、高校生が主人公なのはこれが初めてらしい。
あれっ『DIVE』って高校生じゃなかったっけ、と思ったけど
確認したら、高校生なのは要一くんだけだったね!( ´ー`)


☆「東の果つるところ」(『東と西1』2009.12)
余命いくばくもない、スキャンダルにまみれた女優が
まだお腹の中にいる子供に宛てて書いた遺書、その驚くべき半生。
あらすじを要約するとこんなにずっしりと重いのに、
この短編集の中で一番ギャグテイストだったのはこれです。あるぇー?


☆「ブレノワール」(『チーズと豆と塩と』2010.10)
母と反目し、故郷ブルターニュを飛び出してパリでシェフとして
まずますの成功を修めた男の元に、母の危篤の知らせが。
黒麦粉のガレットに込められた母の想いと息子の後悔と希望と。


☆「ヨハネスブルグのマフィア」(初出:「yomyom」2011年7月号)

 昨夜、私の奥部が発見した悦びも、この深い眠りも、私には初めてのものだった。三十九年と二カ月生きてきて起こらなかったことも、三十九年と三カ月目には起こりうる。とすると、この先も私はまだまだ新規の何かと出会っていけるのではないか。
 一語で言うならば、希望。もしかしたら人が人に与え得る最大のギフトかもしれないそれを、出会って二十時間とせずに彼は私に与えた。それは掛け値なしにすごいことだった。

四十を目前にして、突如として主人公を襲った嵐みたいな恋。
出会ってすぐの相手と一夜を共にした主人公が、翌朝こう思うシーンがすごく好き。

大体、こういう身を滅ぼすようなずぶずぶハマる系の恋愛ストーリーって
男が(確かにいい男だとしても)非道でろくでなしで殺伐としてて
なんか読んでて疲れるんだけど、これはすごく新鮮だった。

安らぎだとか、誠実さだとか、そういうものを求めることが出来ない相手だとしても、
それを相殺するほどの希望(ギフト)を与えてくれる人間との出会いってすごいなあ。
結果的に彼女にとって救いというかその先の人生の可能性を無限に開いたわけだし。




生粋の森絵都ファンにはもちろん、森絵都入門書としてもオススメの一冊ではなかろうか。
とにかく読後感が最高で、まさに“気分上々”なのである。

うむ、満足(o´∀`o)ノ



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