川上弘美 『七夜物語』

七夜物語(上)

七夜物語(下)


川上弘美 『七夜物語』 上・下、読了。

小学4年生のさよはある日、図書館で『七夜物語』という本を見つける。
読んでいる最中はごく普通の物語なのに、本を閉じ、図書館を出たとたんに
どんな物語だったか忘れてしまう・・・。

そんな不思議な『七夜物語』に導かれて、
さよとクラスメイトの仄田くんの、夜の世界の冒険が始まる。




これ読むちょっと前に、割と評判のいい新人作家さんの
ファンタジーを読んでたんですけども、これが超絶読みにくくてですね(⊃д⊂)
ディティールは確かに魅力的なんだけど、まだ文章がこなれてないせいか
スムーズに読み進められず、あと決定的なのが主人公に魅力がない(当社比)という点。
半分ほど読んだんだけど「もういいや」と思って途中で投げ出しました。
なんでこの人あちこちで高評価なのかなあ・・・・。


それで口直しに、まあ間違いないだろうなー、と思って手に取ったのがこれ。
面白かった。すごく上等なファンタジー。

最近流行のダークファンタジーと違って、いきなり両親を殺されたりだとか
特殊な力を持った主人公でなく、ごくごく普通の、10歳の女の子の視点なので、
未知のものに対する恐怖心や好奇心がすごく丁寧に描かれていて、感情移入がしやすい。

特に、わたし自身さよとすごく環境が似ていて
(母子家庭・兄弟なし、本好き、空想好き)
母親に対する遠慮のようなものや、父親不在の戸惑い、空想の友達の存在など
小学生の頃の自分が非常にさよと被るところがあったので、
どうかすると自分が10歳まで戻ったような気さえしました。

逆に言うと、1980年代という時代設定は、現代の子たちが読むには
近すぎる“むかし”なので、却って読みにくいんじゃないかな・・・。

大人が読んでも、十分読み応えのある物語だけど、
読み終わった時に「子供の頃に読みたかったなあ」と強烈に思った。
大人になると、ちょっとやそっとでは価値観や他人とのスタンスは変えられない。
もし子供の頃に、この物語を読んでいたら、
もうすこし優しい大人になれたんじゃないか、そんなふうに思う。



ただ一つ、致命的な欠点がこの本にはある。

酒井駒子さんの大変美しい魅力的な挿画が、
単行本では左ページの余白に小さく載っているだけ。
本当に!!ちいさい!!!
朝日新聞の連載時にはカラーの挿画もあったようなのですが
ジャケット以外は全てモノクロ。

なんじゃこりゃ。
これはあまりにも酒井さんに失礼じゃなかろうか。
そういう意味で“本”の出来としては最低の部類に入ると思う。

こちらのブログで、新聞掲載時の挿画をスクラップしていらっしゃいます。
http://people.zozo.jp/rabbiterna/diary/1585959?

うー、カラーすてきだなあ。原画が見たい~(*゚∀゚)=3



0 コメント:

コメントを投稿