ポール・ギャリコ 『ハリスおばさんパリへ行く』

ハリスおばさんパリへ行く (fukkan.com)


ポール・ギャリコ『ハリスおばさんパリへ行く』読了。

これギャリコだったんかー!Σ(゚Д゚;)

小学生の頃、青い鳥文庫で読んですっごい好きだった話で
復刊されてたのを知って読んだんだけど
当時はギャリコの名もギャリコが男性なのも知らなかったから
今回いろいろびっくりした( º言º; )


ロンドンで、ハウスキーパーさんとして働くハリスおばさん。
ある日、仕事先の邸宅で偶然目にしたディオールのドレスに
恋をしてしまい、どうしても自分でも欲しくなり、
四苦八苦してようやく貯めた大金を手に、単身パリへ。
しかし、ドレスを手に入れるまでには数々の問題が・・・。


もう、初めてドレスを目にするところから、
お金を貯める過程、モンテーニュ街のディオールに乗り込むところ、
最初から最後までずっとドラマチック。

ハリスおばさんはほしかった。むしょうにほしかった。世界でいちばん高価な店のとおり紙のついている、パリのディオールの店から、なんとしてもドレスを買いたかった。でも、ばかではなかった。そんなドレスをつけて人さまの前へ出ようなどとは、ゆめにも思っていなかった。じぶんにあたえられている場所はたった一つ、じぶんのすむへやだけだということも知っていた。(中略)生活の苦しみのにじんでいるこのへやには、じつのところ、そのような最高級のぜいたく品、あでやかなドレスがはいりこむ余地はなかった。しかし、おばさんは、そんなドレスをぜひとも自分も持ちたかった。女性の、ものを持ちたがる性分のせいだと、だれがけなしたってかまいはしない。ドレスを戸だなの中につるしておいたら、へやをるすにしてはたらいているときも、(あそこにあれがあるんだよ。)と思っていられる。そこには、すてきな手ざわりと、目の保養をさせてくれるじぶんのドレスが待っている。そうなったら、どんなにいいだろう。 (p35-36)


この辺りとか、大人になってから読むと本当に心に迫る。
そう、そうなんだよ!似合う似合わないとか関係ないの。
身分不相応だろうが、「どこに着て行くんだよw」って言われようが、
「このすてきなドレスがわたしのもの」というその事実だけで
満たされて、仕事がんばるって気になるんだよ。そういうものなんだよ!!

子供の頃は、これがギャリコが書いたということも
ギャリコが男性であることも知らなかったので何とも思わなかったけど
今考えるとギャリコすごいわ。
こういうのって男性と女性では価値観が違う最たるものだと思うけど
こんなに女性の心理を細やかに表現出来るなんて・・・。

ハリスおばさんの親友、バターフィールド夫人をはじめ、
ディオールの支配人・マダム・コルベールやモデルのナターシャといった
パリで出会う人々たちを巻き込んで、
どうしてもドレスを手に入れたいというハリスおばさんの情熱が
連鎖的に引き起こす数々のドラマが本当に面白い。

ギャリコの本はどれもそうですが、
ただ面白いだけでなく、読んだ後とても優しい気分になれます。
子供から大人までおすすめできる傑作だと思います。


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