朝比奈あすか 『BANG!BANG!BANG!』

BANG! BANG! BANG!



幼なじみのばんちゃんを失い、口も心も閉ざした俺。いつからか、クラスの“裏掲示板”に、そんな俺への悪意が投稿され始める。それは誰も守れず、信じな かった、俺への罰なのかもしれなかった―。まだ青い魂の喪失と再生を繊細に綴る、著者新境地。失ってからわかること、失わないとわからないもの。未成熟で 不器用な心の揺れを描き出す表題作ほか、書き下ろし小説「トン骨とジュリアン」収録。


朝比奈あすか 『BANG!BANG!BANG!』読了。

タイトルと装丁がまずすぎる。

読み終わってまず思ったのがそれ。
面白いんだこれ。いい本なのに!
タイトルと装丁で損をしすぎてるよおおおお!
いかにももったいないですよ・・・。
文庫化の際は検討していただきたいです!!

表題作の「BANG!BANG!BANG!」は、中学生といじめ、裏掲示板
親友の事故と家族のゴタゴタ、初恋の女の子、と
よくある甘酸っぱい思春期もので、
<ネタバレにつき反転>
掲示板で主人公を必死で庇う書き込みをする謎の人物が
実は家で厄介者扱いされている主人公の祖父、という

<ネタバレ終わり>
オチもわりと早い段階で気づくので
特に目新しさはないなーと思って読んでたんですが、
後半の書下ろし「トン骨とジュリアン」が会心の一撃というか
これを読むことによって、前半部分が全く違う味わいを見せるという
秀逸な出来で、慌ててもう一度頭から読み直しました。

後半の「トン骨とジュリアン」は、前半で出てきた主人公の元カノの
10年後(職業・キャバ嬢)視点で話が進み、
一見、前半とは全く違う話に見えるけど、彼女の回想によって
亡くなった主人公の親友「ばんちゃん」のキャラクターが
急にイキイキしてくる。

前半ではすでに故人な上に、ヒネまくった“俺”(主人公)から見た
「ばんちゃん」像しか語られず、「ばんちゃん」は
クラスの最下層のイジられ役、というステレオタイプな
キャラクターでしかない。
けれど、後半の彼女の回想の「ばんちゃん」で、実はばんちゃんは
“俺”が思っていたような人間ではなかったということがわかる。

世界は悪意に満ちていて、ほんの小さな綻びで
何もかもがめちゃくちゃに壊されてしまう。
息苦しい世界で、自分が壊れないように必死にもがく彼女は、
「ばんちゃん」に教わった「ある方法」で
自分の心を守っている----------。

読み応えありました。
初めて読む作家さんだけど、一気に好きになりました。

全然関係ないですが、
キャバ嬢である彼女が、恋人にプレゼントをもらうシーンで
二番目の店でヘルプについた姐さんに、プレゼントをもらったら五歳児の顔でよろこぶことと言われた。その顔見たさに男が次を持ってくるような、いつもは見せない、むちゃくちゃにあどけない顔をするの。そんな顔はね、高価なものをもらった時にしか見せてはだめよ。  (p135-136)

っていうくだりで「これが小悪魔モテテクってやつか・・・」と
素で感心してしまったww

今度やってみます。ので、
誰か高価なプレゼントください(`ФωФ') カッ


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