津村記久子「ワーカーズ・ダイジェスト」

ワーカーズ・ダイジェスト


32歳は、欲望も希望も薄れていく年だった。けれど、きっと悪いことばかりじゃない。重信:東京の建設会社に勤める。奈加子:大阪のデザイン事務所に勤 め、副業でライターの仕事をこなす。偶然出会った2人は、年齢も、苗字も、誕生日まで同じ。肉体的にも精神的にもさまざまな災難がふりかかる32歳の1年 間、ふたりは別々に、けれどどこかで繋がりを感じながら生きていく―。頑張るあなたに贈る、遠距離“共感”物語。


津村記久子「ワーカーズ・ダイジェスト」読了。
津村さんは「ポトスライムの舟」「きみは永遠にそいつらより若い」を読んで
同年代ということもあってか、すごくしっくり来ましたね。


柚木さんなんかに比べると、大変淡々としています。ストーリーの起伏も感情描写も。
ただその分、ものっすごいリアル。

例えば「ワーカーズ・ダイジェスト」の冒頭。
主人公(のうちの一人)・奈加子が朝起きてから出勤するまでの描写。


奈加子は、憎しみのこもった乱暴な動作でカーテンを引いて、太陽の光を部屋から追い出し、昨日取り込んでそのままになっている洗濯物の山から、下着や靴下を探してベッドの上に放り投げる。靴下は、秋口以降は全部黒くて同じ長さのものを履いているので、生地の微妙な違いをマッチングさせるのに苦心する。どうして干す時の自分はちゃんとまとめないんだろうと毎朝思う。簡単なことなのに。(p8)


歯を磨いてリビングに戻る。結局、ちゃんと合わせたと思った靴下は違っていた。片方のアーガイル模様の透かしが、もう片方よりやや大きかった。けれどもう正しく一致させる気力もなく、奈加子はそのまま靴下を履いた。(p10)



リアルすぎて唸ったわ、これなんて私?
靴下(タイツ)干す時に揃えないよねー、そんで朝探しまくるよねー!(´∀`∩
こういった淡々とした日常描写の中に、仕事に対する倦怠やら将来への不安や苛立ち、
そういったものがものすごく生々しく浮き上がってきます。

かといって、読み終わっても「ほらほら働くってこういうことじゃない!?」
みたいな押しつけがましさはどこにもなくて
「あ、わたしこれでいいのかもしんない」と思える、そういう書き手さんです。


今まで読んだ中では「カソウスキの行方」がいちばん好きかな。
エッセイはまだ読んだことないんだけど、タイトルからしていいよね、
「やりたいことは二度寝だけ」ww


カソウスキの行方 (講談社文庫)カソウスキの行方 (講談社文庫)
(2012/01/17)
津村 記久子

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