引っ越しがついに来週に迫ったので、
今週はずっとライフラインの手続きやら、細々した用事で手一杯で
ブログを書くひまがござりませでしたー。
でも合間合間に現実逃避という名の読書はしてた!秋だし(?)

桜舞う桜舞う
(2012/03/14)
あさの あつこ

商品詳細を見る


あさのあつこ「桜舞う」
「おいち不思議がたり」シリーズ2作目。

おいちを巡る人々の人間模様といい、事件の謎解きといい、
1作目より数倍読み応えあったよー!面白かった。

なにより、父親である松庵を手伝うおいちが、
一人前の医師になって人々の役に立ちたいと願いつつ、
「嫁にいき、夫に尽くし子を産み育てるのが女の幸せだ」と
周囲に説かれて煩悶する様はとても共感しました。

今の時代だって似たようなもんだよなー。
そりゃあ江戸時代と比べたら、女も自由に職業を選んで
好きに生きられるようになったけど、
「女」というだけで不利なことは社会でいくらでもあるし
どんなに仕事をがんばってても「いい歳して結婚もしてない」
のは女として間違っている、みたいな扱いを受けることもあるしな。

この前読んだ「待ってる」といい、
この方が書く女性は、悩みや苦しみを抱えつつも
食いしばって自分の意志を貫いて強く生きていて、好きだなあ。

・・・ところで、新吉くんが報われる日は来るんでしょう・・か。
3作目に期待(´∀`*)



書店員が本当に売りたかった本書店員が本当に売りたかった本
(2012/07/11)
ジュンク堂書店新宿店

商品詳細を見る


ジュンク堂書店新宿店著「書店員が本当に売りたかった本」
2012年3月に閉店したジュンク堂新宿店の、閉店間際の
「本当はこの本が売りたかった!」フェアの模様を
写真でつづったドキュメンタリー。

惜しまれつつの閉店、という寂寥感と最後のお祭り騒ぎ感が
出ていていい本でした。
「すべての本にPOPをつける」という無茶な企画ゆえ、
おそらく激務の間に書いたであろう本音POPが興味深い。

惜しいのは、POPが大写しになっているものが多くて、
どのように陳列されていたのかが分かりにくいことかな。
本のカバーと一緒の写真だと(もちろんそういうカットもある)
もっと雰囲気が出てたと思うんだけどな。



リリイの籠リリイの籠
(2007/12/14)
豊島 ミホ

商品詳細を見る


豊島ミホ「リリイの籠」

うーむ・・・装丁からも感じるのだが、
この人の本はどれも完璧に読者がピンポイントだなあ。十代~二十代女性。
不安定な少女の心理を描い・・・てるのだろうけど
イマイチどの子にも感情移入できない。
柚木麻子さんの「終点のあの子」に比べるとどうも“浅い”と感じてしまう。



シャイロックの子供たちシャイロックの子供たち
(2006/01)
池井戸 潤

商品詳細を見る


池井戸潤「シャイロックの子供たち」

とある銀行を舞台にした連作短編集・・・と思いきや、
やがてそれが一つの大きな事件に集約していく。

「あ、これ全部つながった話なんだ」と気づいた時の
アドレナリンどっぱー!て感じが久々でした。
最近こういう伏線ばりばりの、どんでん返しありーの、
みたいなミステリあんまり読んでなかったからな。

それぞれの章で語られる銀行マンたちの、ギリギリの綱渡りのような
人生も、とても読ませます。
一般人にはわかりにくい銀行の業務も、冗長にならずさらっと
説明があって、しかもそれがきちんと伏線として機能しているので
上手いなあーと思った。

ケチつけるとしたらタイトル・・・かな?
「シャイロック」ときいて、シェイクスピアの強欲な金貸しが
即座に浮かぶ教養人はどれほどおられるでしょうかw
序盤のほうで、それとなーくそれを示唆するような挿話が
あってもよかったんじゃないかと思う。


伏線がきれいに回収されていって、どんでん返しもあって、
すとんときれいに落ちるロジカルなミステリが好きな人には
高得点だと思います。はい。



*.....*.....*.....*.....*.....*.....*.....*.....*.....*....*.....*.....*.....*.....*.....*.....*.....*



以下は挫折本。
けっこうキツイ批判してるのでたたんでみた。。

黒猫の遊歩あるいは美学講義黒猫の遊歩あるいは美学講義
(2011/10/21)
森 晶麿

商品詳細を見る

「黒猫の遊歩あるいは美学講義」2章の途中でギブアップ。
第1回アガサ・クリスティー賞受賞作。だそうです。

「ポー作品の新しい解釈と別の古典と日常の謎を三つ巴にする」と
選評にありますが、わたしには難しすぎたんだぜ・・・。

ポーの解釈単体については確かに「へー」と思ったんだけど
キモであろう“三つ巴”のどこをどう面白がっていいのかわからなかった。

ただなんか学術的な講釈がダラダラと続くだけで
ミステリとしても、ラノベとしても山場というか盛り上がりに欠ける。
amazonのレビューでも、絶賛と酷評が真っ二つなので、
レビューでも言われている通り、「読む人を選ぶ」「合う人には合う」本なんだろうなあー

傍若無人なイケメン天才学者と無能で凡庸だがキュートな女性助手、という
キャラ設定は、「またこれか」感がありつつそれなりに魅力的ですが
イケメン学者・黒猫があまりにもダメ男。

一話のオチがわりとひどい。謎ときとしてのオチはともかく、
おい黒猫よ、真実を知った時の助手ちゃんの気持ちを考えたことはあるかね・・・

才能はあるが傍若無人なキャラ、というのは
確固たるポリシーがあったり、傍若無人の裏に人間に対する理解や配慮が
隠れていたりするからこそ魅力的なのであって、
黒猫のような、ポリシーも配慮もないキャラはただの嫌味なヤツじゃないですか。

2話の途中で早々に挫折った人の感想なのであまりアテにはなりませんが。
「人の死なないミステリ」「やたら長い学術的な蘊蓄」が好きな人は
ツボるかもしれません。
ただまあ、合う合わないは別として、クリスティの名前は
ちょいと荷が重すぎるんじゃあないですかねえ・・・・。


ガールズ・ストーリー


引っ越し作業で本を詰め中、宮部みゆきさんの時代物をパラパラ
読み返していて、江戸ものが読みたくなったので。
宮部さん、最近は時代ものはホラー系が多くなってしまって・・・
夜に読んだらおトイレ行けないじゃないですか(。´Д⊂)

「ガールズストーリー おいち不思議がたり」は貧乏長屋に住む
医者・松庵の16歳になる娘、おいちが主人公。
このおいちには、普通の人には見えないものが見え、聞こえる
不思議な力があった・・・・。

うーむ。これ、宮部さんの某シリーズとまる被りじゃないですか(´ェ`;)
設定が気になりつつも、まあ「宮部さんぽいもの」が読みたかったわけで、
そういう意味では「そうそうこういうのが読みたかったの」という感じ。

おいちがとても好感の持てる女の子だし、おいちの縁談相手の
生薬屋“鵜野屋”の若旦那をめぐる事件と謎解きも面白かった。
ミステリの謎解きそのものよりも、事件にまつわる人情が
細かく描かれていて、そこも好きでした。やっぱ時代ものはこうでないと。

あとですね、新吉が!新吉かわいい!!
いい歳してあのウブさってどうなのさ・・・!
ラストでおいちちゃんといい仲になるのかと思いきや、
なにこれ生殺しか!続刊読めってか!読むよ!(*゚ω゚)=3


漂泊の王の伝説



ラウラ・ガジェゴ・ガルシア「漂泊の王の伝説」読了。

いやあこれ面白かった!!
久々にページを繰る手が止まらない、ぐいぐい読ませる
実力のある本に逢いました。
Wikiを見てみたら、どうやらこれ作者が22~3歳の時の作品みたいで
びっくりだよ・・・。


砂漠の小さな王国の王子・ワリードと、貧しい絨毯織りの男、そして
絨毯織りが織った「この世のものではない」絨毯を巡る運命の物語。

もうとにかく、王子が抱える暗い嫉妬心による陰湿なイジメによって
絨毯織りが正気を失っていく過程がぞくぞくします。

最初から最後まですごくドラマチックな展開で
要所要所で「運命」というワードが出てくるんだけど、
それはすべて登場人物のこういう行動・心理によって引き起こされたものですよ、
という、ロジカルな「運命」の描かれ方です。

ロジカル・・て表現はおかしいかなあ、
「因果応報」というのが近いかもしれない。
原著ではどういうニュアンスのワードなのかなあ。

子供向けのファンタジーなのに、
主人公のワリードが徹底的に「ヤなヤツ」で、これがなんというか
大人にはツラい。

子供の目線なら「うわーなにコイツ!むかつく!」とか憤慨するところでしょうが
ワリードの「ヤな」ところというのは、嫉妬、支配欲、優越感、のような、
人間が誰しもが持っている、醜い負の部分。

大人はそれを自覚している分、ワリードの振る舞いが心をえぐるんですよ。
「もうやめて!!そんなことしても後で辛い目に遭うのはあなたですよ!!」
と何度叫びそうになったことか・・・。

中盤~後半はワリードが、己がしたことの代償として、自らの運命を
受け入れて「漂泊の王」となるわけなんだけど、
これも「ヤなヤツ」から改心して急に「いいヤツ」になるわけではなく、
楽になろうとしたり、忘れようとしたりして常に「迷い」がある。
それだけに、ラストにかけてのカタルシスが気持ちよかったな~。

子供の頃に読んでいたら、きっとものすごい衝撃だったと思う。
ただ、大人は大人なりの楽しみ方が出来ると思うので
年齢関係なくおすすめしたい傑作ですわ。



待ってる 橘屋草子


あさのあつこ「待ってる 橘屋草子」読了。もういっちょ江戸もの。
江戸で評判の料理茶屋“橘屋”で奉公を始めた12歳のおふく、
女中頭のお多代を中心に、橘屋に関わる人々の生き様を描くオムニバス。

いやーこれ良かった。面白かったです。
2009年刊行か。amazonの書評も1件しかないね。
もっと評判になってもいいと思うのになあ。

こっちはミステリ要素はないものの、
どんな苦労や悲しみを背負っても、わずかな希望にしがみつくようにして
必死で生きている人たちのドラマがとても胸に迫ります。

特に、幼い頃の怪我で体が不自由になり、
まともな職にも就けず、家族も崩壊した三太の物語、
「桜、時雨れる」は今の日本の現状と照らし合わせても
色々と考えさせられるものがあったなあ。

全編を通じてのキーパーソンである女中頭のお多代さんが
すっごいかっこいい!めちゃくちゃいい女なのです。
おふくちゃんも、お多代さんの跡を継いできっといい女に!

ところでこれも、おふくちゃんと某さんがくっつきそうで
くっつかないんですが、あさのさんは焦らしプレイがお好きですか!?
しやわせになった2人が見たいじゃないのさああ。・゚(゚⊃ω⊂゚)゚・。


囚われちゃったお姫さま―魔法の森〈1〉 (sogen bookland)


これめちゃめちゃ面白かったー!
これも訳者さんのセンスが光る翻訳でした。
一応児童書というかヤングアダルト向けの作品なのですが、
子供にもわかりやすく、かといって冗長な解説めいたところはなく、
笑わせるところは笑わせる、言葉選びが秀逸でテンポも良くて、
ほんとに気持ちよく読めました。
(某有名ファンタジーシリーズの翻訳もこの人に依頼すればいいのに・・ボソッ

とある平和な国の末っ子姫・シモリーンは
剣術・ラテン語・経済学に魔法にお料理という「お姫様らしくない」
ことにばかり夢中になる女の子。
めでたく隣国のめっちゃハンサム(だけ。頭はいまいち)王子と結婚が決まるも
「そんなのいや!」と、家出をした挙句
自分から希望してドラゴンの「囚われの姫」になります。

このシモリーン姫がめっちゃかわいいw
女子なら誰もがうっとりするハンサム王子に対しても、
「ユーモアのセンスがないでしょ、知性がないでしょ」
とかもうケチョカスに言いますよ。
ドラゴンのカズールとは意気投合しちゃって
お城にいる時よりはるかにイキイキして囚われ姫ライフをエンジョイしてるしね!

やー、面白かったですわー。
昨今流行りのアレとかアレとか、やたらダークな設定ばかりのファンタジーに
うんざりしてる方におすすめしたい(*´pq`*)
このシリーズ全部で4冊あるらしくて、全部翻訳されているので順番に読むよ!


Twitterでやたらと絶賛されていた
山内マリコさんの「ここは退屈迎えに来て」も買ったので楽しみに取ってあります。
こういう具合に、片付けても片付けても本があふれるよ!魔法の部屋か!


遠い町から来た話


去年話題になった「アライバル」の作者、ショーン・タンの作品集。
アライバルもちゃんと読んでないんですが、タイトルでこれに惹かれたので借りてみました。

こういう大人向けの絵本でちょっとシニカルなテイストというと
ぱっと浮かぶのはエドワード・ゴーリーだけど
(大好きですゴーリー(*´ェ`*)
ゴーリーのような毒気はなく、どっちかっていうと“いい話”が多い。

「一家に一台ミサイルが支給される時代」なんていうドキッとする設定も
あるんですが、ものすごくのんびりしたオチがついてくるし。
お話はどれもすごく良かったですね。あと訳(岸本佐知子さん)も。
こういうのってセンスがない人が訳すとほんとどうしようもなくなるからな・・。

絵はタッチも色も話によって色々で、ものすごく引き出しの多い人なのか、
「色々試してやってやろう」みたいなエネルギーも感じました。
「エリック」「名前のない祝日」が特にお気に入り。




食うものは食われる夜

紅水晶


蜂飼耳「食うものは食われる夜」「紅水晶」読了。


「うきわねこ」っていうお気に入りの絵本がありまして、
(これめっちゃ可愛いので!可愛すぎて悶絶するので是非読んでほしい)

うきわねこうきわねこ
(2011/07)
蜂飼 耳

商品詳細を見る


この方はどういう方なのかなーと思って調べたら、
中原中也賞とかをお取りになってる詩人さんなんですね。
まずもう、「蜂飼耳」ってペンネームがすばらしくすてき。

絵本の他にも、詩集や小説も出してらっしゃるということで
詩集と小説とを借りて読んでみました。

詩ってもともとほとんど読まない(特に現代詩)んで
いわゆる自由詩の言葉運びに面食らう。
「誰にも見えない降伏の旗」の出だし部分。

非常用のごはんなら まだある 牡蠣フライなら まだ
予告された摩擦は 足早に過ぎ なにもなくてよかったね (p56)


うん・・?
音韻がどうとか、味わいがどうとかもっともらしいこと言えないんですけど
わたしはすごく好きです。
解釈がどうこう、とかシチュエーションを想像するより、
ただぼんやり言葉に弄ばれてる感、を楽しむかんじ。

で、期待して短編集「紅水晶」を読んでみたのですが
これがちょっと・・・。わりとエログロな要素が強くて読むのに疲れました。
中山可穂さんとか、梨木香歩さんのドロっとしたところ、
ああいうかんじがわりと延々続く。全体的に薄暗いです。
あと出てくる男がみんな最低野郎で・・。救いもあんまりないw

5編の短編からなる本なんですが、5編すべてが森とか石とか虫とか
そういうものが話の中心にあって、その描写がものすごい濃くて息苦しい。
ペンネームからしても、そういうものにどうしようもなく惹かれる方なんでしょうね。
うーん、ちょっと、読むのに疲れるのでわたしは苦手ですね・・。
期待していただけに、残念。。。。


パイの物語


ヤン・マーテル「パイの物語」読了。2002年のブッカー賞受賞作。
ずっと読みたかったんですが、夏休みに読みたいなあと思ってとっといたのです。

夏休み、ないんですけどね。

カレンダー通りの勤務なので8月は休みなしです。・゚(゚⊃ω⊂゚)゚・。
祝日がない分、他の月より過酷です。お盆?なにそれ食えんの?状態です。
気分だけでも夏休み味わいたいので、「夏休みぽい」本をチョイスしました。
む、むなしい・・・・。・゚・(つД`)・゚・。


インドからカナダへ出航した貨物船が沈没。太平洋に放り出された救命ボートには、
16歳のインド人の少年と、オラウータン、シマウマ、ハイエナ、
そして、ベンガルトラ。

わずかな非常食と水、それと4匹の獣たちを相手に、
少年のサバイバルが始まる・・・。



わたしが子供の頃、講談社の「少年少女世界文学館」という月一配本の
子供向け世界文学全集がありまして、毎月とても楽しみにしてたんですが
「ロビンソン漂流記」と「十五少年漂流記」を読んだ時の衝撃がすごくてですね。
それ以来、漂流とかサバイバルとかに異様なワクワクを感じる子供になりました。
「赤毛のアン」と「飛ぶ教室」も大好きだったんですけどね。


で、4匹と1人のサバイバルなわけです。
生き残るために、少年が選んだ選択というのが大変おもしろい。
このあたりの心理戦というか「生きるための選択」の描写が秀逸でした。

このお話、3章立てになっていて、最初の1章が全体の1/3ほどで
ここで少年・パイの生い立ちが語られるんですが、これがかなり退屈。
というのも、彼はインド人であるにも関わらず、特殊な宗教観を持った少年で
キリスト・ヒンズー・イスラムを平等に実践しようとするんですな。
正直、わたしのような無神論者にはこのあたりの描写はおもしろくもなんともなかった。
早く漂流の話が読みたいのに!という感じでやきもきしました。

2章が漂流の話なんですが、これはさすがにぐいぐい読ませる。
そしてラストの3章でのどんでん返し(?)があるんです・・・が、
ちょっと調べると、これの元ネタになったお話というのは
英国では非常に有名な話らしいので、その知識があるかないかで
ラストの印象がかなり変わるような気がしますね。
「リチャード・パーカー」を知っているか否か、かなー。

このあたりが翻訳小説における問題というか、
文化圏の違う文学を読む時の一種の枷でしょうか。
まあ私に大した教養がないせいってこともあるんでしょうが・・・。

わたしとしては純粋に、物語として楽しめたので満足でした(゚▽゚*)

ワーカーズ・ダイジェスト


32歳は、欲望も希望も薄れていく年だった。けれど、きっと悪いことばかりじゃない。重信:東京の建設会社に勤める。奈加子:大阪のデザイン事務所に勤 め、副業でライターの仕事をこなす。偶然出会った2人は、年齢も、苗字も、誕生日まで同じ。肉体的にも精神的にもさまざまな災難がふりかかる32歳の1年 間、ふたりは別々に、けれどどこかで繋がりを感じながら生きていく―。頑張るあなたに贈る、遠距離“共感”物語。


津村記久子「ワーカーズ・ダイジェスト」読了。
津村さんは「ポトスライムの舟」「きみは永遠にそいつらより若い」を読んで
同年代ということもあってか、すごくしっくり来ましたね。


柚木さんなんかに比べると、大変淡々としています。ストーリーの起伏も感情描写も。
ただその分、ものっすごいリアル。

例えば「ワーカーズ・ダイジェスト」の冒頭。
主人公(のうちの一人)・奈加子が朝起きてから出勤するまでの描写。


奈加子は、憎しみのこもった乱暴な動作でカーテンを引いて、太陽の光を部屋から追い出し、昨日取り込んでそのままになっている洗濯物の山から、下着や靴下を探してベッドの上に放り投げる。靴下は、秋口以降は全部黒くて同じ長さのものを履いているので、生地の微妙な違いをマッチングさせるのに苦心する。どうして干す時の自分はちゃんとまとめないんだろうと毎朝思う。簡単なことなのに。(p8)


歯を磨いてリビングに戻る。結局、ちゃんと合わせたと思った靴下は違っていた。片方のアーガイル模様の透かしが、もう片方よりやや大きかった。けれどもう正しく一致させる気力もなく、奈加子はそのまま靴下を履いた。(p10)



リアルすぎて唸ったわ、これなんて私?
靴下(タイツ)干す時に揃えないよねー、そんで朝探しまくるよねー!(´∀`∩
こういった淡々とした日常描写の中に、仕事に対する倦怠やら将来への不安や苛立ち、
そういったものがものすごく生々しく浮き上がってきます。

かといって、読み終わっても「ほらほら働くってこういうことじゃない!?」
みたいな押しつけがましさはどこにもなくて
「あ、わたしこれでいいのかもしんない」と思える、そういう書き手さんです。


今まで読んだ中では「カソウスキの行方」がいちばん好きかな。
エッセイはまだ読んだことないんだけど、タイトルからしていいよね、
「やりたいことは二度寝だけ」ww


カソウスキの行方 (講談社文庫)カソウスキの行方 (講談社文庫)
(2012/01/17)
津村 記久子

商品詳細を見る


あまからカルテット


 「終点のあの子」作者の誰もが待ち焦がれた新作は、仲良し四人組の探偵小説。ピアノ講師の咲子、編集者の薫子、美容部員の満里子、料理上手な由香子。恋愛の荒波も、仕事の浮き沈みも、四人の絆で乗り越えてみせる。  

ついさっき読了。
柚木麻子さんの「あまからカルテット」
文春文庫の「終点のあの子」が良かったので、他のも読みたくて
図書館で借りてきた。夕飯後に手に取ったら止まらなくて一気読み。
いやー、今年に入ってから読んだ小説の中で一番おもしろかったな!


中学生からの親友というアラサー女子4人のオムニバス。
恋のはじまりや、ストーリーの要所要所で食べ物がキーになってるんだけど
これがどれもめちゃくちゃおいしそうなんだ・・・・!
稲荷寿司、ラー油、甘食、ハイボール・・・・

アラサー女子の友情もの、というとドロドロした感情描写が入りがちな印象だけど
これは4人の感情がリアルでありつつも思いやり深く描かれていて、
読了後がほんとさわやかでしあわせ。
色んな女性作家さん読んで思うけど、こういうのってご本人の気性によるところが
大きいよなあ・・・・。(ボソリ)
最近は特に、寝る前に色々考えちゃうような重いものはどうも読む気がしなくて、
読了後に「はーよかった!」て思うようなのを好む傾向にあるので
これは今の自分に合っててすごくよかった!

「終点のあの子」のほうが、思春期をテーマにしているせいか
シビアかつやや毒がある感じです。それもまたいいんだけど。
あとyomyom連載の「本屋さんのダイアナ」も目が離せないかんじで
オススメなのであります!

とりあえず今出てる柚木さんの全部買うよー。
こういう作家さん久しぶりで嬉しいな。
あと週末に稲荷寿司挑戦する(o´∀`o)ノ


終点のあの子 (文春文庫)終点のあの子 (文春文庫)
(2012/04/10)
柚木 麻子

商品詳細を見る


yom yom (ヨムヨム) 2012年 09月号 [雑誌]yom yom (ヨムヨム) 2012年 09月号 [雑誌]
(2012/08/01)
不明

商品詳細を見る